コックピット内でカナダ国旗のワッペンを着けたマイク・トリグヴァソン選手、窓越しに広がる上空からの景色

09 SEP 2026

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AIR RACE X 2026 Race 4 レーストラック解説

第4戦の見どころ
つなぐという、もうひとつの技量

AIR RACE Xのコースは、レースごとに姿を変えます。第1戦はハイターンを軸にしたコース。第2戦は持続するGとの戦いを強いるコース。第3戦は、速さがそのまま難しさに変わるコースでした。 そして第4戦のテーマは「つなぐこと」です。 図で見れば、これまでと同じ5組のパイロンが並んでいるだけ。しかし第4戦は、その5組を最も細かく結んでいます。

青とホワイトのレース機のコックピットに乗り込む女性パイロットと、傍らに置かれたヘルメット

最初のカギは、スタートからG5(ゲート5)まで続くシケイン。ここをいかに最短経路で、しかもスムーズに駆け抜けられるか。その勢いのまま、G5の超高速ハイターンへ突入します。続くG7からG10は、最も速度が乗った状態からの低空ローターン、そして連続する切り返し。ここでの極めて繊細なコース取りが、勝敗をわけます。

旋回が途切れないこのコースで、ベストラインをなぞりきるのは容易ではありません。問われるのは、単発の機動の切れ味ではなく、それを最後までつなげる技量です。

白煙でS字を描きながら低空を切り返して飛行するレース機

レーストラックの基本構造

コースを構成するのは、5か所のゲート(A〜E)です。A(スタート/フィニッシュゲート)を起点にB・C・D・Eが200m間隔で並び、全長は800m。ただしA・C・Eが一直線上にあり、B・Dだけがそこからわずかに横へずれています。選手はこの5か所のゲートを合計14回通過します。

ハイターンが2回、ローターンが2回。配分は第3戦と同じですが、第3戦が直線での加速を課したのに対し、第4戦はその加速をシケインの中で行わせます。速さを出す場所そのものが、難しさを持たされています。 マーカー方式やゲートの成り立ちは第1戦の解説を、ハイターン/ローターンの違いは第2戦の解説をご覧ください。

ゲートA〜Eの配置と、それらを結ぶ飛行ルートを示したレーストラックの俯瞰図
通過順 ゲート 進入方向 旋回の種類
1(Start) A 0
2 B 0
3 C 0
4 D 0
5 E 0 High Turn
6 B 180
7 A 180 Low Turn
8 C 0
9 E 0
10 B 180 Low Turn
11 D 0
12 E 0 High Turn
13 C 180
14(Finish) A 180
赤と白のレース機が白煙を引きながら急旋回する様子

同じ5本が、シケインにもストレートにもなる

コースは、手前のAから800m先のEまで一本に伸びています。選手はこの一本の上を、両端で向きを変えながら何度も往復します。 往路にあたるスタートからG5までは、5組のパイロンすべてを順番に通過します。B・Dが横にずれているため、機体は左右に振られながら進む。これが「シケイン」です。

一方、レース中盤にはA・C・Eの3本だけを続けて通過する場面があります。この3本は一直線上に並んでいるため、同じ空域が800mのストレートに変わる――同じ空の上に別のコースが現れます。 そのシケインでは、切り返しのたびに機体の姿勢は乱れ、速度は削られていきます。大きく回れば線は膨らみ、強引に詰めれば姿勢が崩れる。最短でありながら、なお滑らかであること――相反するこの2つを、加速しながら同時に成立させなければなりません。

雲を背景に鋭く弧を描く白煙の航跡を残しながら旋回するレース機

Gate 5 ― シケインの勢いが、そのまま牙を剥く

シケインを抜けた機体は、加速しきった状態のままG5のハイターンへ突入します。 機体にかかるGを決めるのは、操縦桿の引き加減です。強く引けば、機体は小さく鋭く回り込む。ただしその瞬間、身体には激しいGが襲いかかります。

12Gを一度でも超えれば、その瞬間に失格。かといって、恐れて引きを緩めれば、Gは収まる代わりに軌跡は大きく膨らみ、タイムを失いかねません。 どこまで引くか。その加減を決めるのに、計器を確認する余裕はありません。判断を支えるのは、パイロット自身の身体感覚だけです。

コックピット内でGを受けながら笑顔を見せる女性パイロット(Beyond Gravityチーム)

Gate 7・Gate 10 ― 低空でのギリギリの攻防

G5で折り返した機体は、旋回を挟まずコースの端から端まで駆け下り、最高潮に達した速度のままG7のローターンへ突入します。上へ抜けて向きを変えるハイターンに対し、ローターンは低い高度を保ったまま折り返します。最低高度250FTを割ればペナルティ、Gが制限を超えれば失格。上と下、ふたつの限界に同時に挟まれながら、しかも速度を落とすわけにはいきません。

背面飛行で低空を飛行する機体を後方から捉えた視点

ここを抜ければ800mのストレートが待ち、その先にはもう一度のローターン、さらにその直後にはハイターンが控えています。立て直すための余白は、どこにもありません。 この連続する切り返しで求められるのが、極めて繊細なコース取りです。旋回が続くコースでは、区間ごとの最速を積み上げても全体の最速にはなりません。どこかで意図的に緩め、次のために姿勢を整える判断が要る。その引き算をどこに置くかは、パイロットによって変わります。だからこそ、第4戦は選手ごとにラインが違って見えます。

図面の上に理想の線を引くことはできる。しかし12Gの世界で、その線を実際になぞりきれるかどうかは別の話です。わずかなラインの違いが、コンマ1秒を争う勝敗を決める。第4戦を制するのは、最後まで一度もラインを乱さなかった選手なのです。

放送情報

AIR RACE X 2026 第4戦は、9月13日(日)21時より、大会公式YouTubeチャンネルにて配信します。

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